テレビが映らない。

3週間ぐらい前から、テレビが映らなくなりました。電源は入るけれども、画面が黒いまま。コンセントを抜いてみたりしましたが、同じです。別にテレビがなくてもいいか、という感じでそのまま過ごしています。

3週間たって、ちょっと困るなあと思うことがあります。それは簡単にいうと、気分転換できないということです。家で一人でいるとずっと自分と対話しているような状態が続くので、疲れてきます。こういうときテレビをつけると、なんとなく現実に戻ったような気がすることがよくあったのですが、それが最近全くできないのがちょっと疲れます。

YouTubeTwitterは見ているのですが、ネットはテレビより少しだけ能動的なのですよね。テレビはチャンネルを選ぶという行為はありますが、あとはおまかせ。とりあえずそこで勝手になにかやっていてくれている。自動的に私の脳内の会話を中断してくれるので、番組がおもしろいとかつまらない以前にホッとするということがよくあります。

そうこうしているうちに、映画を見てみようかと思いつき、AmazonのプライムビデオをPCで見始めました。映画をまともに見るなんて何年振りだろうというかんじです。以前はWOWOWで時々見ていましたが、自分で選んで見るのは久しぶりです。

 

私は何年か前にテレビで断片的に見た映画があって、タイトルもわからないし、それがずっと気になっていたのですが、「映画 庭師」で検索したらみつかりました。「チャンス」という映画でした。

子供の頃から大きな屋敷の中だけで暮らしてきた庭師のチャンスが、屋敷の当主の死によって外の世界に初めて出て行って起こる物語で、ウィキペディア的にいうとコメディとか風刺映画ということになるらしいのですが、それ以上のものがあると私は思います。

外の世界で友人となったベンジャミンの葬儀を抜け出したチャンスが、林の中の大きな池にやって来てそのまま水の上を静かに歩いていく最後のシーンは、とても清らかで胸を打つものがあります。原題は"Being there"。

 

もうひとつの映画は「最強のふたり」。これもテレビでちらっと見ていいなあと思っていた映画です。私は好きな映画は?と聞かれたら、一応「フィールドオブドリームス」と答えることにしているのですが、今度から「最強のふたり」にしようと思っています。

首から下が麻痺してしまった大富豪と、その介護人となった貧しい移民の若者との交流を描いた映画です。冒頭、静かなピアノの演奏で淡々と始まるのですが、パトカーをやり過ごして車を飛ばしていくシーンで、私たち年代には懐かしい"September"が流れてもうここでまず心奪われますね。

大富豪の誕生日パーティのシーンでは、介護人のドリスが、同じくE.W.Fの"Boogie Wonderland"をiphoneでかけて踊りはじめるのですが、音楽の楽しさ、ダンスの楽しさが溢れています。

私は何度か書いているようにK-POPファンで、よくダンス動画を見ているのですが、この映画のドリスのダンスシーンを見ると、やっぱりアジア人との違いをまざまざと感じます。なんと言ってもガタイが違いすぎる。これは錦織圭の試合を見ていても感じますね。錦織がどんなにがんばってもあのロボットみたいな体つきの西洋人とはハンデがありすぎるんじゃないかと。

そして、身体の内側から湧き出てくるようなリズム感と動き。もうカッコ良すぎます。

ストーリー自体もすてきで、このドリスの飾らない正直な言動が魅力的で、体が動かない大富豪とのやりとりはユーモアにあふれ、心温まるものがあります。この映画は実話をもとにしているとのことで、このストーリーがよく練られた絵空事ではないということがほんとうにすてきだなと思います。

 

なんだか映画にはまりそうな予感です。テレビはこのまましばらく放置です。